(吹奏楽) 上手くできないかも知れないけれど、仲間に入れる時間

私は吹奏楽の落ちこぼれです。中学の時、1か月だけ吹奏楽部に入り、落ちこぼれて退部した過去があります。楽譜も読めずに、ただただ憧れて入部。担当はフルート。それまで音楽の合奏は暗譜していました。が、フルートのパートは主要メロディラインではなく、主要メロディラインを飾る音で、びっくりするほど♯と♭があり、暗譜が不可能でした。かくして、

「じゃあ、途中の18小節目からいきまーす。1,2,3」

この指示ですら、右往左往し、合奏が始まっているのに譜面が追えず、地蔵。

 

きれいに楽器&楽譜コンプレックスを青春の忘れ物として残し、大人になりました。思春期ついた傷と言うのは恐ろしく、どうにか克服したくなってしまうものなのか、それから色んな楽器に手をつけました。

 

エレキギターもやりました。なぜか最初に先輩から渡された譜面が、確かバービーボーイズ。いや、ギター、触ったこともないのによ。びっくりするくらい、ギターのあちこちをのっけからスライドさせられる、指。一音一音tab譜を書いて、一小節覚えるのに1か月以上。帰りの会の最中、夢遊病のように指を動かし続ける自分が、友人に目撃され。我ながら、不器用極まりないのに、よくも頑張ったと思う…。

 

唯一弾けた記憶があるのが、TMネットワーク木根尚登様、貴方だけが、私にギターが弾ける楽しみをくださいました…。

 

結局あまりに下手で、私たちのバンドは先生から文化祭出場不可が出るという体たらく。いい思い出がほぼほぼありません。

 

それでも克服したい楽器コンプレックス。コンプレックスとは恐ろしいものです。ですが、生きる糧にもなる。

 

その後私はウクレレカホンに手を出しました。カホンは単品ではあまり楽しめず、お蔵入り中。ですがウクレレは、手軽にぽろぽろ楽しめる。

 

かくしてウクレレだけは、かれこれ15年くらい、弾いています。もともとうんと小さい時分にピアノをやっていて、聞いた曲を耳コピできます。自分の都合のよい音階に直すので、半音を全然覚えないのですが。お陰で年を追うごとに弾いた曲数は増えるものの、都合のよい耳コピなので、どんどんコードを忘れています。今3つのコードだけですべてを弾いています。CとG7とF。だけ。

 

障害のある子供に関わる仕事をするようになり、初めての年。定年退職された方がこんなことを言っていました。

「この仕事でウクレレを覚えました。」

その後に「へえ~」という周囲の声。どうやらウクレレが大変お上手な人だったようす。

 

…へえ、ウクレレ、この仕事に使えるんだな。その時思いました。

 

かくしてウクレレは私の仕事のパートナーにもなりました。思えば色々な曲を弾きました。朝のお集まりの歌。活動のはじめの歌。季節の歌。お偉いさんに見られる日もウクレレがあり、写真に撮られる日もウクレレがあり。子供にいじくられ、あるいは子供と一緒にセッションし。電車とバスで離れた場所にいる子とセッションするため、ウクレレ数本を毎度運んだ日もありました。

 

今の職場でも、ウクレレ

「前任者は時々英語の歌を歌ってくれました。」

と職場の人に言われ、じゃあ音源より、速度も子供に合わせて調節できるし、ウクレレで、と。

 

最近では、なぜか隣の職員さんがウクレレを買い、私がチューニングを担当しています。そしていつもの3つのコードを教えています。

 

15年弾いているわりに、全然上手じゃないところがミソですが、なぜか楽器を弾いていますよ、中1のころの私。そしてゆっくりですが、まさかの輪が広がっています。

 

先日、クリスマス会が仕事場でありました。職員さんと楽器のセッションがありました。開始数分前に譜面が2枚も増えるという白目状態。しかも傍で付きっ切りで指導され、気分はまさに吹奏楽のあの日々そのもの。

 

本番では、どの曲を弾くという導入もなく、譜面を開いていた曲ではない曲がいきなり始まり、ええええええと混乱しつつ、暗譜の記憶を頼りに演奏。おどろくほど、何とか逃げ切りました。

 

もうすぐ曲が終わるというとき、ふと「もう終わっちゃうのかあ」という寂しさみたいなものが。もう少しこれを楽しんでいたいなあ、みんなで。そっか、これが、吹奏楽や合奏の、楽しい所だったのかな。

 

一音一音味わって、「間違えるかも」「足引っ張るかも」より、「みんなでできるの、楽しいな」に変わって。みんなの足を引っ張る、みんなに悪いという気持ちより、みんなの仲間に入りたいから練習する、というのが正解だったのかなあと、12歳の時のしくじりを、云十年後、何となく、ちょっとだけ、治せたような気になりました。