やわらかい ぱん

いつか絵本にまとめたいブログ

手塚治虫 『ユニコ』

娘の幼稚園がはじまりました。まだ園バスの運行が安定しておらず、我が家は家ではなく、離れた場所でバスを待つ身なんですが、今日は戸外で40分待った。娘もダウンコートを着せていたけれど、寒い寒いと鳥肌&青い唇になってしまい、私も家帰ってからダウン&毛布にくるまっていますが、寒気がひどい。何だろう、幼稚園開始2日目にして母子でダウンか…。

 

娘が家にいないと、さみしくて、お絵かきをする気になれません。娘がいると、それはそれでまあ大変なんですが。

 

というわけで、最近思い出して気になっていた手塚治虫『ユニコ』を書棚の奥から引っ張り出してみました。

 

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(カバーなし。カバーそもそもあったのかな…)

 

これ確か、生まれて初めて買ってもらった漫画です。1978年刊行と書いてあるんだが…記憶を統合するに、書店で数年間埃をかぶっていた本じゃないか…と思うのです。しかもなぜか2巻。1巻が書店になかったんだろうなあ。

 

うすらぼんやり覚えていますが、家で「漫画買って、ユニコがいい」としきりにねだり、一旦買うことを了承した母でしたが、書店でこの本を前にして、買うのを渋った記憶があります。多分どう見ても数年売れ残った半端な本だったからなのでしょう…。

 

でも、今見返すと、すごくいい。小さな女の子向けに描いた漫画だそうです。コマ割りとか斬新すぎて驚いてしまう。大きな絵に枠線を重ねているという手法を使っています。そうすることで、まるで実際の世界にカメラのファインダーを合わせているような、切り取られなかった世界にも世界が続いているような効果になっています。こんなコマの割り方見たことがない。(写真、著作権に引っかかりそうなので、載せられませんが…。)

 

コマって、コマの中に世界が全部納まっているじゃないですか。だけどこの本は違う。世界がコマの向こうに広がっていて、あくまでそれをコマで切り取っているだけだ、という発想なんです。驚いた。

 

全編カラーという豪華さで、色合いがすごく淡く、すっごく美しく可愛いらしい。共感と自己犠牲がテーマの物語です。テーマもストーリーもすごく切なく、どこまでいっても雑味や苦みがない。何てすっと体になじむようなストーリーなんだろう。その分ものすごく痛いですけど。この対象読者に応じて変えられるの、すさまじいですよね。

 

ところで、ユニコには前期の放浪型の物語と、後期の家庭型の物語があるそうです。連載する雑誌が変わったことで、タイプが変更されたようです。

 

今手元にあるのは放浪型です。実は私が雑誌で読んで、欲しがったきっかけのユニコ漫画は、家庭型だった記憶があるんですよね…。だから買ってもらって、あれ、これ、知ってるユニコじゃない、と思った記憶があります。家庭型はドラえもん的な、もっと安穏とした世界で、ユニコがひたすら可愛くてドタバタ、みたいな話だったような…。

 

ともかく手元にあるのは放浪型。固定のキャラが放浪することで、出会う人が変わり、ユニコというキャラが固定でも、出会う人とその人の背負うテーマが違うので、まるで違う物語ができるという構成。わあ、なるほど!!

 

ロードムービーですね!

 

考えてみれば、固定キャラで物語を回すのにも、色んな種類がありますね。ドラえもんサザエさんのように、場所が固定されているもの。西遊記銀河鉄道999のような、ロードムービー型のもの。格闘漫画やスポーツ漫画は、対戦相手が変わっていくので、ロードムービーに近いのかな。ロードムービーは、終着駅(旅の目的)が決まっていると、着いた(到達した)、できれいに終われるという特性もあるわけですね。

 

ユニコ、読むと結構な名作なのに、当時書店に売れ残っていたんだなあと思うと、今は伝説となっている手塚治虫先生も、人気の浮き沈みがあったんだろうなあと想像します。

 

以下に不思議なコマ割りについて書かれています。上下巻をカラーでアマゾンで買うと3000円ちょっと。でも欲しいかも~~~~~~~~。

 

tezukaosamu.net

 

このユニコのね、困り眉で、少し眠そうな疲れているような瞳で、バックが可愛いキャラなのに、黒スミで、「(出会った人物のつらい)気持ちが伝わってきました…」とか。もう、どんだけ根幹を揺らせてくるんだと驚きます。映画でも、ここまで来ない。小説だと来ることがありますが。漫画、小説などの単純なメディアの持つ破壊力ってあるんですね。