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やわらかい ぱん

いつか絵本にまとめたいブログ

営業さん

4 People(人々)

保険の営業さんが今日も来る予定だ。書類を取りに。正直気が重い。

 

我が家担当の営業さんはまだ若く、しかもどちらかというと人相手より、PC相手の方が向くタイプの方で、真面目で、プライドやこうあるべしという理想は高く、彼が下手打たないよう気を回してしまい、超絶ヘトヘトになる。

 

さらに営業さんは女性の営業さんを一緒に連れてくるのだが、地味に彼女への当りがきつく、見ていてそれもつらい。控えはどうしたんだとか、顧客番号は合っているのかとか、言葉短く、舌打ちする感じで言っていて。お客に聞かれないように短く小声で言っているんだろうが、聞こえているよー。いっそ普通に会話してくれよ。

 

知り合いが保険のおばちゃんを一時やっていて、土日もなくて辞めたといっていたが、私の立場はこの女性の営業さんに近いわけで。見ていて自分ももしこの仕事をしたら、年下男子からこういう扱いを、仕事を教えるというより、八つ当たりされる感じで受けるんだろうなと思え、トホホ。

 

前回、この保険の営業さんをどれだけ精神的に支えたかというと、契約書を交わして、家から送り出して、ほっとして娘に食事を作っていたら、家の電話が鳴り、

 

「すいません、書類に不備があったので、もう一度伺ってよろしいでしょうか、すいません!(…と、女性の方から電話。男性社員、こういう時君が上司なんだから自分で電話しなさいよ…)」

 

はいはい…と対応し、すいません、すいませんを繰り返す2人を家に上げ、スリッパをだし、書類を書き直し、送り出した。また、戸口ですいません、すいませんを繰り返す二人。いえ、いいんですよ…でも疲れた、もう帰って…。

 

娘に食事を出して、「ごめんママちょっと疲れた」と撃沈していたら、再び電話。

 

また、女性の方から、震える声で電話。だから、男性社員、君が社員でこの女性社員たぶん非正規でしょ。なぜ君が監督としてついてきているのに、君が電話をしないんだ。イヤな仕事を押し付けないでよ…。

 

「すいません、まだ不備がありまして…。せっかく家の近くにおりますので、きちんと完了して帰りたく…。」

 

いや、それ君たちの都合じゃないか。もう次回、書類を渡す際じゃダメなのか。ヘトヘトになりながら、ごめんなさい、すいませんを繰り返す2人を家に上げ、スリッパをだし、書類を言われるがままに修正し、すいません、すいませんの2人を家から送り出し。

 

保険の営業は、人相手の仕事と、事務的な仕事を一緒にやるので、二種類の仕事でチャンネルが違ってきついだろうなとは思う。ベテランの営業さんたちでも、どちらの方が得意というのはあるようだ。こちらの質問で分からない時は、会社に電話をして問い合わせをしたり、書類を書き直しさせられることも珍しくない。

 

だけど何が違うって、できる限りこちらに負担にならないように方法を考えてくれている事じゃないか。書類の訂正が至急必要な場合は、速達の切手を貼ったものを郵送してくれ、こちらのタイミングで書き直し、郵送させてくれる。家に何度もお客を上げるよりは、自分でポストに投函するほうがよっぽど楽だ。

 

私も自分の仕事で色んな失敗がある。提出した仕事に不備があって、何度も訂正し、提出先にえらく怒られた経験がある。ので、そういう、どうにも間違いが出る日がある事は仕方がない。が…。

 

2度も家に先方のタイミングで戻って来られ、そもそも先方の監督のもと緊張しながら書いた書類を訂正しなきゃいけないのには疲れるし、その書類、どこで確認してんだろというのも気にかかる。

 

まさか駅で書類見直していないか?頼むよ顧客情報。見直すなら、我が家か会社でじっくりやってくれないか。

 

そんな気が重い時間を過ごし、再び電話がかかって来ない事にほっとして、レンタルビデオ屋に、ビデオを返しに出かける。疲れたけど行かなきゃ。延滞料が発生してしまう。

 

するとビデオ屋では、社員の男性か、後輩の男性に、声高に棚の並べ方の見本を見せている真っ最中だった。

 

「この棚はぐちゃぐちゃになっていますけど、本来全部こっち向きで揃うべきなんです。このポップはこう見えないとお客様にとって不都合なんですよね。ちょっとこの棚ひどいな。並べ直しだ。」

 

すいません、その棚、今私がいました。何が不都合でもありましたでしょうか…。(別に並び替えをしていないけど)そして、その棚、声高にしゃべりながら何分いるんだ、その棚が見たいんだけど…。

 

まだ経験の浅い社員さんが、新人の人に指導をしないといけない現場が増えているんだろうなあと思いながら、帰宅。何かね、何かそういう場は気を使うんだよね。彼らを傷つけないようにするのに。

 

今日も保険の営業さんが来る。正直溜息が。

 

とはいえ、お会いして、素敵だなあって溜息が出る営業さんもいる。会う事が楽しみな方も過去にはいらっしゃった。徐々に彼らも場数を踏めば、そうなって行くのだろうか。

 

義父は長年営業さん。とっくに定年を迎えているが、知人の会社で再雇用らしい。社内のルールは守らず、毎日提出しないといけない書類は、一週間に一度程度しか出さず、「誰も○○さんに注意できないんですよ」と言われているらしい。

 

私の実家も彼にお世話になった事がある。彼でないとできない仕事だったし、なあなあではなく、きちんと安くはあるが、報酬も支払った。引け目もほぼなく、憤りもなく、感謝と、しかし支払ったというすがすがしさがあり、win-winだ。今も、困ったことがあったら義父に電話をする。

 

義父にはそういうお客さんが多い。友達、知り合い、みんな義父に相談する。義父はそれに自分のペースでステテコのお腹をかきながら答え、仕事になりそうだったら知人の弁護士を巻き込んで、仕事にする。そこに態度の差はない。

 

そして「もうかっちゃったー」と言っては、国内旅行に行っている。

 

以前義父と同じ職種の営業さんと会うとき、義父に同席してもらった事がある。義父は口だしはせず、座っているだけで、中堅の年齢の営業さんが話すのを、彼が萎縮しないようにと気遣っていた。義父はマウントしない。ひけらかしもしない。何なら同情していた。

 

が、何かの話の時、

「お茶もらっていいの?」

と、出されたお茶を飲んだ。そのタイミングが、どうやらプロには分かるらしく、このじいさん何者だ、と、以降「お義父さまは今日もご同席されるのでしょうか」とマークされていた。

 

何とも昭和な話だけど、平成のペースで昭和の仕事はできないよね、きっと。平成の人間は時間がなくその仕事を担わないといけないのだから、きっと違う、もうちょっとフランクなモデルが必要なのかも知れない。

 

顧客の自分も、昭和の営業さんを求めるのはいけないのかもね。

 

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義父は、この人形によく似ている。我が家の守り神。