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やわらかい ぱん

いつか絵本にまとめたいブログ

老人と老犬

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奇跡のように晴れた晩秋の公園で娘と遊んでいた時のこと。可愛いフワフワの小型犬を連れた、品の良い、優しそうなおじいさんが少し離れたところに立ち、こちらを伺うように、コミュニケーションを取りたそうに、にこにこと視線を向けていました。

 

無類の犬好きの娘は、犬の名前を聞きに行きました。その流れで、このお爺さんとお喋りをしました。

 

いわく、そのワンちゃんは15歳で施設にいたこと。殺処分の直前、お爺さんがNPOを通じて貰い受けたこと。現在17歳のおばあちゃん犬であること。前の飼い主さんは、添い寝するほどこのワンちゃんを大事にしていたけれど、どうやらワンちゃんより先に亡くなったらしいこと(それで施設へ)…。

 

「大分(人と犬が)似ている部分があると思いますが、(人よりも)ずっとずっと我慢強いですね。…ぼくはこの子にそんな事しないですけど、待てと教え込まれたり…。」

 

このワンちゃんが、全く吠えないで、びっくりするほど穏やか。17歳にもなると、犬は聖人の境地になるのか、あるいはもともと持って生まれた性格なのか。娘が無茶に触っても、隣で飛び跳ねても、おっとりと、目をしばしばと細めて、日向ぼっこをしている。私も触らせてもらった。お腹がぽっこりとして、頑張って生きてきた老人の体だった。

 

どうやら奥様は亡くなっているようで、お子さんたちは自立して家を出ている様子。

 

「この子がいるから助かっていますよ。散歩に連れて行かなきゃいけないから、家を出なきゃいけないし。でも、家で籠ってずっと本を読んでいるより、こうして実際に歩いて、触れて、見てのほうが、ずっと学びが大きいですね。それが次本を読んだときにつながる土台になる…。」

 

気づけば私がベンチに座り、年配であるこの方のほうが地べたにしゃがみこみ、敬語を使われいた。私は何様なんだろう。王様か。

 

本を読む時、同時代を生きる友人よりも、どこか強烈に故人である本の著者にシンパシーを感じることがありますが、それに似た感じで、どこか同年代の友人よりも、この年配の方のほうに近い考えや経験があり、不思議でした。友人は年齢じゃないんだなあ。

 

わが子がどっかに走り去ったので、お別れをすると、しばらくそこのベンチに座られていた。さわやかで、どことなく寂しい晩秋の風にあたりながら、ワンちゃんとずっとそこに座っていらした。静かに2人とも風に吹かれるまま髪や毛をなびかせて、ずっと座っていらした。

 

たまに思いがけず人と知り合えるのは、面白いです。この年になると、もしかしたら、一番面白い事なのかも、とも。